夕方、3〜6歳の子が「頭が痛い」「おなかが痛い」と言い、いつもより激しく泣いています。 「園の変化でストレスかな」と考える前に、見る順序を決める場面です。

最初に見る順序

最初に確かめるのは、理由ではなく、意識、呼吸、けいれん、強い痛みなどの緊急性です。 緊急症状がなければ、発熱、嘔吐、排せつ、睡眠、食事、けがと、症状が出た時刻を一緒に記録できます。 心理社会的な負担は、身体症状と行動の経過を確認したうえで相談材料にできます。

原因を聞く前に安全を確かめる

呼びかけても返事がない、反応がおかしい、呼吸が弱い、呼吸が苦しそう、くちびるが紫色といった様子では、家庭で原因を考え続けません。 頭痛にけいれんが伴う、激しい腹痛で苦しがる、嘔吐が止まらない、便に血が混じる場合も、総務省消防庁が子どもの救急要請の目安に挙げています。 この場合は119番へ連絡し、指令員の質問に答えます。

安全を確かめる間は、子どもを一人にせず、たたく、物を投げるなどで本人や周囲がけがをしない距離を作ります。 行動を叱って止めることより、大人が危険な物を離し、静かな声で見守ることを先にします。

頭痛、腹痛、激しい行動を一つの原因にまとめない

同じ日に起きても、頭痛、腹痛、激しく泣く行動が一つの原因から生じたとは限りません。 発熱、感染症、便秘、排尿時の痛み、睡眠不足、空腹、頭をぶつけたことなど、診察で確認できる手掛かりがあります。 家庭で病名を選ぶのではなく、痛み以外に何が変わったかを見ます。

癇癪は、激しく泣く、叫ぶ、たたくなどをまとめた行動の呼び名であり、原因を示す診断名ではありません。 痛みをうまく説明できず激しく反応している場合も、要求が通らず感情があふれた場合もあり、外から行動だけを見て区別することはできません。 急に普段と違う行動が出たときは、しつけの問題と決めず、まず顔色、反応、体温、痛がる場所、飲食、排せつを確認します。

診察で伝えられる形に記録する

記録するのは、原因の予想ではなく、見た事実です。 頭痛なら始まった時刻、続いた長さ、同時にあった症状、悪化した場面を残すと、米国小児科学会が案内する頭痛記録の項目に沿います。 腹痛なら痛がる場所に加え、嘔吐、便の状態、排尿時の痛み、食べられたか、飲めたかを残します。

激しい行動は、始まる直前にしていたこと、痛みの訴え、眠気や空腹、終わるまでの様子、本人や周囲のけがを記録します。 動画を公開したり、子どもを辱める説明を添えたりする必要はありません。 園での様子が関係しそうなら、「ストレスが原因だと思う」ではなく、食事、排せつ、昼寝、転倒、普段との違いを尋ねます。

心理社会的な負担は身体確認を終わらせる理由にしない

ストレスが身体や行動に表れる可能性はあります。 米国小児科学会の保護者向け資料は、強い負担が頭痛、腹部の不調、癇癪と結びつくことがあると説明しています。 ただし、その並びがあるだけでストレスを原因とは判断できません。

慢性腹痛についてAAPとNASPGHANがまとめた臨床報告では、不安、行動上の問題、最近のつらい出来事の有無は、機能性腹痛と身体疾患による腹痛を区別する手掛かりになりませんでした。 この資料の主な対象は海外の慢性腹痛がある子どもで、急な腹痛や3歳児へそのまま当てはめることはできません。 それでも、つらい出来事があったという情報だけで身体面の確認を打ち切れないことは示しています。

緊急性と身体症状を確認した後は、園や家庭の変化、怖かった出来事、人間関係も穏やかに聞けます。 答えを迫らず、話したくないときは遊びや休息を優先します。 安全を確かめた後の感情への関わり方は、子どもが泣いたときの感情コーチング研究も参考になります。

医療機関へ相談する目安

救急要請の目安に当たらなくても、頭痛や腹痛が繰り返す、強くなる、睡眠から目を覚ます、発熱や嘔吐を伴う、飲食や遊びが保てない場合は、家庭でストレスの有無を探し続けず、小児科へ連絡します。 行動についても、普段と違う激しさが数週間続く場合は、小児科や自治体の子育て相談へつなぎます。 数週間を待たず、本人や他者がけがをする、園生活が保てない、保護者だけでは安全を守れない場合も相談します。

休日や夜間に、今受診するか判断へ迷う場合は、厚生労働省の子ども医療電話相談を利用できます。 地域によって実施時間が異なるため、緊急症状があるときは電話相談の開始を待ちません。 相談時には、子どもの年齢、今いる場所、症状が始まった時刻、意識と呼吸、発熱、嘔吐、飲食と排せつ、けがの有無を伝えます。

判断に残る限界

家庭で見る順序は、病名を当てる手順ではありません。 幼児は痛みの場所や強さを大人と同じように表現できない場合があり、記録がそろっても診断は医療者の評価が必要です。

この記事が参照した米国小児科学会の保護者向け資料と慢性腹痛の臨床報告には、海外の医療制度、学齢期を含む広い年齢、古い資料が含まれます。 日本の幼児について、頭痛、腹痛、癇癪の組み合わせから原因を判別する精度を示した研究ではありません。

したがって、当面の判断は「ストレスか病気か」を家庭で二択にすることではありません。 危険な様子なら救急へつなぎ、そうでなければ身体の手掛かりと経過を記録し、続く困りごとを小児科へ相談する順序が妥当です。

出典

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